2006年10月発行機関誌 No.004

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夜風が涼しくなってきましたね。 この秋から本格的に障害者自立支援法に基づくサービスが開始されます。不安・不満があれば声を出していきましょう。

勉強会を終えて

去る2006年1月19日に、講師として芦屋女子短期大学 杉本 章 教授をお迎えして、障害者自立支援法に関する勉強会を行いました。 ご参加、ご協力くださいました皆さん、本当に有難うございました。お陰で有意義な時間が過ごせたのではないかと思います。 らいふ・すけっととしても、この勉強会を基盤とし、市や国に対してきちんとモノが言える組織作りを目指して行きたいと考えています。

下記は、この勉強会を終えてお寄せいただいた感想です。

らいふ・すけっと学習会に参加して

正月も過ぎて1月半ばの頃、三障がい、身体・知的・精神が一緒に学びあう場、新鮮に感じられました。

私は知的障がい者の施設で働く職員の立場で参加させていただきました。それまでの障害者自立支援法の研修といえば官製の論法での説明会的なものがほとんどでした。自分の視点・立場をどこに置いたらいいのか曖昧でした。

今回の杉本 章教授の講演は、軸足をキッチリと当事者に置かれ、本音の部分もあわさって、この法の多面的な理解に大いに役に立ちました。

とはいうもののあれから3ヶ月、法は施行され重い利用者負担だけが走り出しました。新受給者証のそれぞれの上限負担額はどのようになったでしょうか、いままで0円だった方が3~5万円の負担発生という方も大勢おられます。サービスの利用を減らそうと考えたり、精神の人の中では”断薬”まで考えざるを得ないところまで追い込まれています。

当たり前の暮らしを少しずつ積み重ねて実現してきた人たちが、サービスの利用抑制によって地域から家庭へ戻ることになってしまいそうです。

最近こんな例もありました。役所の受給者証への記載ミスによって1万円/月の実費負担を余分に払わされることになりそうでした、幸い私たちの指摘によって未然に防ぐことが出来ました。

この法による利用料の改定の手続きからさまざまな減免措置について、非常に複雑で解りにくいため、認定や決定事項をそのまま受け入れている場合が多々あると思われます。今後の政省令についても、我々がその内容をよく知ること、そして申請できるものはどんどん申請すると言った意気込みが必要になります。

法の施行の前にどんな理念も抗議も無力に感じられますが、講演でも力説されているように当事者の実態を情報として繋いでいくことや、団体として国や市に働きかけたり、交渉していくことが重要で、その意味からもこの学習会のように伝わりにくい気持ちや声なき声を代弁しながら当事者やそれにつながる人々の連帯を築いていく運動に期待しています。

レポート

らいふ・すけっとの所長である友田美代子さんが、昨年、無事にヘルパー1級の研修を終えました。そのときに提出されたレポートを掲載させていただきます。

実習をふりかえって

それぞれの施設で働いておられる方々の真摯な姿勢に嬉しさを感じ、気持ちの引き締まるのを感じながら実習を続けることができました。

知的障害者施設の重度棟(つばさ棟)では、入所者の方々の日常にふれる中で、その障害とそれぞれの方の中にある欲求、湧き上がる思い、それらを表現する手段などいろんなものが交錯する様子や痕跡を目の当たりにさせていただき、この仕事の深さと重さを感じました。また、そこでの指導者の方の、人を尊んだ振る舞いと礼儀を持った対処のされ方に、こんな厳しい職場でこんな有り様ができるのだと清々しい思いをさせていただき、胸の重さが少し楽になったのを覚えています。

そして自閉症という障害の中で生きていく、また生きがいを持つということの意味は何かと考るとき、それは深く、私などにはとてもたどり着けないようにも思えました。しかし今は、支援者としてできることをする、そして少しでもその人たちに近づけたらと努力することが必要だと思いました。この仕事をしていく自分の姿勢に甘さを感じ、襟を正される思いがしました。

訪問看護同行訪問では、病院とは違い設備の整っていない環境の中で、状態の急変にも対応できる判断も要求され、看護を居宅で行うことの大変さを実感しました。また適切な対応をするための研究と試行錯誤を重ね努力されている様子に心を動かされました。そして看護師は看護師の、ヘルパーはヘルパーの専門性や知識が必要であり、それぞれの支える側面の違いがあり、またそれ故にそれぞれから得られる情報を交換することでバランスのとれた一歩進んだ援助へと繋がっていくと考えられ、チーム運営の必要性も実感できました。

デイサービスでは、自分の体力的な不安もあり、大きな利用者さんのトイレ介助のときに自分の手が腰回りに届かず不安定なまま介助をしてしまうということがありました。また利用者さんが表情の変化や言葉の少ない人と判断し、介護中の言葉がけを控えたが、実際には笑顔も多く会話も楽しむ方であることを後で知り、ADLの見極めの甘さを感じました。
コミュニケーションは、利用者さんの協力もあり、あまり抵抗感なくとれたと思います。実習生と接することに慣れておられる利用者さんでもあるが、こちらも利用者さんの経験された話の中から気持ちを聞いていき、今持っておられる思いにつなげるようにしました。

業務実習では、同行訪問の後、書類を作る中で何のために訪問介護計画書を作るのかを考え、またそこに至るまでの手順には、利用者さんはどんなことを希望しているのかを見極め、それには何が必要なのかを考える、そこでは思いをくみ取る感性と現状を把握する客観性が欠かせないと考えられました。

公的機関訪問では、現在の福祉を取り巻く状況(介護保険と支援費制度の統合や、国の政策の一貫性のなさなど)の説明などを聞き、理解を深めるというより不安や不信が強まる面もありましたが、今後も研修会に参加したり、関係者間での情報収集などで状況を正確に捉えていく必要性があると考えました。

実習を通して皆様が研究熱心で、根気のいることをこつこつと努力されている様子を見させていただき、自分の介護に対する姿勢を改めて見つめ直しました。特に自分の腰の引けたその場しのぎになってしまっている面のあることに気づき、これまでの自分の仕事への姿勢が浮かび上がってきたように思えます。この研修を経験したことにより、在宅介護の仕事をやっていこうと心を動かされたことが、私には一番大きかったと思います。そしてやはり援助を受ける人、援助する人の持つ力を信じこの仕事をやっていこうと思います。

所長 友田 美代子

事務局より

2006年4月より、らいふ・すけっとは指定事業所となりました。

〒675-0023
加古川市尾上町池田387-3
ユニハイツ101号